「赤めだか」の本に、
『修業とは、矛盾に耐えることだ』
と書いてありました。
…スポーツ界にも、矛盾はたくさんあります。
私にもかつては下積み(後輩)時代があり、
毎日そんな環境に身を置いていました。
題して、私の高校時代
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合宿になると、私たち(後輩)には「起床係」の当番がありました。
起床係は、朝まだ眠っている人たちを起こすのが仕事です。
当番は、起床時間よりも早い時間にまず自分が目を覚まして、
号令をかける瞬間をじっと布団の中で待っています。
ただ、「起床係」には悲しい条件が課せられていて、
自分一人のために目覚まし時計を使ってはいけないことになっていました。
先輩たちの睡眠時間を1分でもムダに削ってはいけないからです。
「起床係」は各自が自らの意思で、気合いで目を覚まし、
そろそろ時間になったという頃、おもむろに
「みなさま、起床5分前で〜す!」と叫びます。
そう、午前6時ちょうどの起床時間に叫ぶと、
中には、ガバッ〜と一瞬で目を覚ますことができない先輩がいるので
余裕をもって「まどろみ」の時間まで用意して、
丁寧に号令をかけてさしあげるのです。
「起床係」の日、私は極度の緊張で
夜が明けるずっと前に目が覚め、
そのまま布団の中で、眠らないように
考え事をして過ごしていました。
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合宿になると、私たち(後輩)はとても忙しくなります。
起床後、すぐに全員で砂浜海岸を限りなくダッシュに近いランニング。
その後は、朝から晩まで、
窓を閉め切ったサウナ風呂のような体育館の中でみっちり強化練習。
そのほかに食事の準備・後片付け、洗濯など、
瞳が開いているときは、とにかくいろんな仕事がありました。
一日が終わると、近くの銭湯に行ってお風呂に入ります。
消灯時間までに布団に入らなければいけないので、
サッサと入浴を済ませ、また学校に戻ります。
あるとき、私がシャンプーをしているときに
銭湯の脱衣場から、私の名前を呼んでいる声がします。
「えっ? 誰?」と後ろを振り向くと、
当時、日体大キャプテンのS先輩が
私を連れ戻しにやってきました。
「何かありましたでしょうか?」
「いま先生が、急に夜間練習をすることにしたから
みんなを呼んでこいって!」
「いま、からですか?」
「そう、だからすぐにお風呂から出てきて!」
あとは寝るだけなんて思ってると、先生の一言でまた
夜間練習が始まったり…(泣)
今思うと、私がまだ「モチベーション」なんて言葉を
知らなかった頃だったから良かったのかも。
湯上がりの脱力状態のときに
練習をやることにどんな意味があるのかとは
一度も考えたことがなく…、
とにかく先生がやると言ったら、
何も考えずにコートに走っていく選手が一番スゴイと
思っていましたから(笑)。
結局、髪の毛も濡れたまま体育館にダッシュ。
その後、さらに身体にもびっしょり汗をかいて、
身も心もグシャグシャでした(涙)。
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春休み、夏休み、冬休みになると、
母校では恒例の長期合宿がありました。
私たち(高校生)の練習相手として、
OG(大学生&社会人)や日本のトップ選手たちが
大勢集まってくれます。
私が高校2年に進級した春休みのことです。
先生から
「お前はM選手(日体大3年)にシングルスの試合をしてもらえ!」
と指示がありました。
しかし、フルセットの末に私は負けてしまったのです。
M選手は石川県出身、
日本体育大学女子バド部の主力選手。
私よりも4歳も年上です。
しかも、当時の日体大と言えば
インカレ(全日本大学選手権)の常勝校ですから、
主力選手の競技レベルは決して低くはありません。
私は、M選手に負けましたが、
自分では「大健闘!」と納得していたので、
そんなに悔しく思っていませんでした。
しかし、先生(監督)の方はまったくそうは
思っていなかったようです。
みんなで夕食を食べているときに、
私に対する個人攻撃が始まりました。
私がどんなに泣きながら反省しても、
何時間もずっとネチネチと私のふがいなさ、気持ちの弱さを
機関銃のごとく攻め続けてくるのです。
挙げ句の果てに、こんなことを言われました。
「明日、M選手は昼頃に地元石川県に帰ると言っていた。
だからそれまでの間に、何が何でもお前はM選手に
勝っておかなければならないんだ!
できるだけ大差で勝って、相手に恐怖心を植え付けろ!
それが必ずお前の財産になる。
そういう意識がないとチャンピオンにはなれないんだ」
ただ「勝て」じゃなく、
「大差で勝て!」と言われても…。
うなだれた私に、先生は恐い目をして
こんな知恵を授けてくださいました。
「いいか。そのためには早朝、
相手がまだ寝ているところをお前が叩き起こしに行って
試合を申し込め!
高校生からお願いしますと言われたら、
普通なら、大学生が嫌ですとは言えないはずだ!
お前は、早朝の4時過ぎに、M選手に試合を申込みに行け!
それでも負けるようなら
お前はもう選手として通用しないよ!」
つまりは、相手の寝込みを襲って
試合に勝てということ…。
近い将来、私とM選手が全日本クラスの大会で
対戦することを想定し、
今のうちから心理面で有利にしておこうという狙いです。
そんな卑怯な手を使ってでも、
恐怖心を与えることが重要なのか。
…その日、
私は競技スポーツの厳しさを知りました。
それから、私は目覚まし時計を午前3時半にセット。
対戦相手のことや先生の顔などを一通りイメージした後、
なおもドキドキしながら眠りにつきました。
そして午前4時、
何も知らないM選手の布団のところに行き、
土下座のポーズをして試合を申込みました。
相手のM選手には顔を洗う時間も与えず、
起床後わずか20分後には
私とシングルスの試合をするためだけに
コートに立ってもらいました。
結果は言うまでもなく、私の圧勝!
相手は悔しいというよりは、
試合が終わってもまだ「何でなの?」という表情。
私はと言えば、相手には申し訳ないことをしたものの
「これで先生に怒られなくて済む…」と
ほっと胸をなで下ろしたのでした。
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URL | G社員N #-[ 編集 ]
雰囲気はぜんぜん違いますね。
まあ、指導者の愛のムチ(殴る・蹴る)も含めて、
「なんでもあり」の時代でした。
URL | 管理人 #-[ 編集 ]
ところで、今回の話題には
大笑いしてしまった私です。
やっぱり素直さは大事だねー。
だから今のあなたがあるんですねぇ。
それにしてもすごい時代でしたね。
URL | 若女将 #-[ 編集 ]
私の一学年先輩で、
中学校からずっと一緒なので
同じ指導を受けてきました。
あの人の場合は、もっと
すごいネタがあるんですけどね。
書いたら怒られそうで…。
URL | 管理人 #-[ 編集 ]
怒られないよ、きっと。
ふふふ。
URL | 若女将 #-[ 編集 ]
「怪物」のような先輩でした。
URL | 管理人 #-[ 編集 ]
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